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記事一覧


呼び子
筆者|日下 ジャンル|ホラー もし、誰かに名前を呼ばれた時、あなたはどうするだろう。 ……返事をして振り返る? そう、当然の行動だ。 けれど、あなたを呼ぶ声は本当に人間のものだろうか? たとえば、こんな話がある。 山では人を呼ぶとき、必ず二度、名前を呼ばなければいけないというのだ。 何故か。 〝人間ではないもの〟が、人の真似をして名前を呼ぶときは一度しか呼ばないそうだ。だから、人が人を呼ぶとき必ず二度以上呼ばなければいけない……そんな〝山言葉〟が――山のルールが、存在するのだ。 もしも、誤って返事をしてしまったら? 呼ばれ振り返って、誰もいないことに首を傾げる様を見た〝人間ではないもの〟に笑われるくらいなら可愛いものだ。けれどもしも、間違った道へ誘われ山奥に迷い込んでしまったら? 攫われ、二度と戻ってこられなかったら? 取り憑かれ、成り代わられてしまったら? ……さて。この話を聞いてあなたはこれから先、名前を呼ばれたら、どうするだろう? ――その声は本当に、人間のものだろうか? □□□□ 梅雨の始まりらしい曇天だった。..
7月13日


柘榴の心臓
筆者|路也 ジャンル|都市伝説+ちょっと不思議 「柘榴の実ってさあ」 人間の心臓と同じくらいの大きさらしいよ。と、手の中に収めた赤黒い果物を眺めて花厳が言う。彼の手に握られている柘榴の実は作画の参考用に、若草がスーパーで夕方買ってきたものだった。 「へぇー。そうなんですか」 ここは、スタジオこしろの制作室。本来は制作進行やプロデューサーが仕事をするための部屋だが、そこに今夜は何故か監督が居付いている。監督——花厳勝太郎のぞわぞわする蘊蓄を話半分に聞きながら、若草彰はガントチャートの整理を進めていた。若草の手首に嵌るシルバーのスマートウォッチは午前二時四十五分を示している。 若草の栗色の双眸が、彼のトレードマークである黒縁眼鏡の隙間から、我が監督の様子を盗み見た。花厳監督は若草の対面の席へ勝手にペンや絵コンテといった作業道具一式を持ち込み、グーッとその長い身体を、背もたれで伸ばして座っている。寝そべって海老反りする猫のような格好だ。花厳はそんな集中力散漫かつ脱力しているように見える状態ながらも、丸眼鏡の向こうの小粒の目をためつすがめつして、
7月12日


とある、ありふれた怪異譚
筆者|ふりお ジャンル|オカルト・ホラー・都市伝説・ちょっと不思議 ■ プロローグ ■ 昼休みも終わりに近づいたころの話だ。 壁際の古い自動販売機は絶えずモーター音を鳴らし、蛍光灯の白い光が床を鈍く照らしている。 窓の外では秋めいた雲がゆっくりと空を覆いはじめ、遠くを見ると薄い灰色に霞んでいた。 今にも雨が落ちてきそうな、湿り気を帯びた午後だった。 花厳は紙コップの湯気を眺め、若草は珈琲の缶を手持無沙汰に握り、とりとめのない話をしている。 廊下の向こうから社員たちがわいわいと話しながら通り過ぎていく。 昼休みを終えた人たちは、それぞれの制作室へ吸い込まれてゆき、自動販売機だけが取り残されたように静かだった。 その前を、ひとりの女性社員が通りかかった。 「あっ、お疲れ様です」 女性社員は自動販売機の前で足を止めると、温かいお茶のボタンを押した。 紙コップが落ちる乾いた音が静かな休憩スペースに響く。 「監督とプロデューサーって、最近よく、そこにある神社にいますよね」 「そこ?」 花厳が首をかしげ
7月11日


境界
筆者|なした ジャンル|ホラー 本当に俺からでいいの? いくらスタジオのホラー作品の企画とはいえ、なんだかインパクトに欠けるよ、俺の話。作品にするほどの怖さも不思議さもないかも。あぁ、うん。確か監督にも話したことないかも。肩透かししても知らないよ。 自分のこと語るのは得意じゃないけれど、仕事とあらば仕方がない。 監督、本当に映ってる?ちゃんとRECのマーク出てる? あ、そう。ごめんごめん。二度も話をしたくないから、確認したんだ。 大して面白い話でもないしね。 そもそも、カメラで撮って記録だなんて、誰が言い出したんだっけ? まぁ、いいか。 じゃあ、話すよ。 ——俺が小さい頃、母方の祖母が危篤との連絡を受け、海沿いの田舎町に滞在したことがあった。つまり、母の故郷なんだけれど、そこに行ったのは後にも先にもあの時だけだったんだ。 母はその田舎のことが嫌いなようで、終始不機嫌な顔をしていて、俺は母の眉一つの動きも見逃さないように顔色をうかがった。子どもながらに、通常よりもさらに「いい子」にしていようと心に誓った。 「もう小学二年生だから一人で寝
7月10日


七つめを知ったら
筆者|傘 ジャンル|ホラー スタジオこしろには七不思議がある。例えば作画机の下からこちらを覗く幽霊。深夜二時二十二分に踊り場の鏡に映る『何か』。その他五つを若草は知らないが、きっと似たような話だろうと見当をつけている。 「で、なんでこうなるの」 「だ、だって」 誰もいない深夜二時の制作室。流石に見切りをつけて一旦帰ろうとしていた若草は、花厳に泣きつかれて足止めを食らっていた。彼は今日も今日とて泊まり込むつもりのようで、いかにも「私を置いていかないで」とでも言いたそうな顔でうるうると若草を見上げている。 「私を置いていかないで」 「……っふ」 想像と寸分違わない嘆願に、若草は思わず笑ってしまった。ここまで読み通りだと一周回って可愛らしく思えてくる。年上だし、目つきも鋭ければ仕事にも真摯だが、こういうかわいいところがあるのだ。それは明確に幼馴染兼恋人の贔屓目だとわかっていても、こうも甘えられると若草はいつも強く出られない。 「置いてかないのはいいけどさ、ちょっと寝かしてほしいんだけど」 「寝るの⁉ だめ!」 「もうどうしろってんだよ」...
7月9日


焦がれるほどの思いなら
筆者|うい ジャンル|オカルト・ホラー 若草と花厳はいつものように、二人で仕事明けに酒を酌み交わしている。今日は個室ではない。各席で静かに盛り上がりを見せる店内の壁際の席に案内されていた。昔馴染みの居酒屋もいいが、手狭なエレベーターをあがった先にある流行りの店の予約が取れたのでこうして花厳を誘い飲みに来たというわけだ。 仕事関連の話にも区切りがつき、食事のメインの皿も片付いたころ。追加で頼んだアラカルトと若草のクラフトビールが届いたタイミングで、花厳がポツリと話し始めた。 花厳曰く、もうケリがついたことだ、と出来立てのアラカルトをつまみながら。それを若草はクラフトビールのグラスを片手に聞くことにした。 花厳は語りはじめる。それは若草にとっても記憶にある内容だった。 始まりは二人でドライブに行った時のことだったという。あまりに制作に煮詰まっていた夜、花厳を車に押し込んだ日があった。二人を乗せた車は高速に乗り、喧騒から離れた場所で夜風に当たりに行こうという流れだった。 車内は静かだった。それでも車のエンジン音と微弱な心地よい揺れが、
7月8日


7/8より順次作品公開!
7/8より6日連続、日付が変わった0時になりますと「作品一覧」にて6話分が公開となります! 公開順序は参加者の名前順となります! 各位の個性がとても際立つ素晴らしい作品群ですのでどうぞお見逃しなく! 感想大歓迎でございます!下記の手段などで是非執筆者にお届けください! ①公開日の夜20時に投稿する告知ポストの引用RP ②ハッシュタグ「#花若あやかしのこと」をおつけてポスト ③各執筆者の感想送付プラットフォームへ(感想プラットフォームの接地の有無は各位に任せています。)
7月7日
あらすじ公開中!
メニュー欄「執筆者紹介・作品あらすじ」もしくは下記URLからご確認ください! 近日扉絵の一部も追加予定です! https://rot068.wixsite.com/infokwkaii/arasuzi
6月28日


6/28開催イベントにてフライヤー配布
企画参加・執筆者である路也さんのサークル「平熱8.1℃」さんにて 当企画のフライヤーを配布していただくことが決定いたしました! 配布場所 26.6.28(日)東2て83b 平熱8.1℃ 当日はポストカードを卓上に設置していただきます。 スペースではサークル主の頒布物の頒布を優先しますため ポストカードのみお受け取りご希望の方はスペース内売り子までお声かけください! 配布時にスペース主・売り子・会場スタッフから指示があった場合は 速やかに従って頂きますようご協力をお願いいたします。 また、当日主催は不在のため当企画に対する不明点や質問は 告知アカウントもしくは主催Xアカウントまでお問い合わせをお願いいたします。 当日参加されます皆様におかれましては、 台風が近づいてきていますので足元に気を付けて楽しくイベントを満喫してくださいませ! 何卒よろしくお願いします!
6月25日
7/8より順次公開
執筆者各一作品ずつを連日ウェブサイト公開・SNSへ投稿予定です
5月9日


ウェブアンソロジーへ変更
こんにちは 主催のうい・ふりおでございます。 この度企画をウェブアンソロに変更します旨ご報告させていただきます。 主催都合となり大変恐縮ではございますが冊子発行のイベント頒布からウェブ企画へと変更となりました。 つきましては公開日時などもあわせて変更しておりますので詳細は下記URLもしくは特設ページ「企画概要」欄よりご確認ください https://rot068.wixsite.com/infokwkaii/about またご都合により、執筆者が変更となりました。 執筆者は下記のメンバーにて制作してまいりますので何卒よろしくお願いいたします。 (敬称略) うい 傘 日下 なした ふりお 路也 既にいただいているあらすじを執筆者紹介・作品あらすじのページに掲載しています。 本項掲載あらすじは全文公開にあわせて6月末を目途に改めてSNSでも発信してまいりますので、その際はぜひご覧いただきRPなどご協力いただけますと幸いです。 情報発信は各SNSをメインに当サイトも活用してまいりますので引き続きよろしくお願いいたします!
5月9日
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